2010年2月8日月曜日

ダブルクリックの壁

もう少しマウスにこだわってみます。

初めてマウスに触り、ねらった場所に何とかマウスカーソルを動かせるようになった人がぶつかる次の壁が、ダブルクリックです。

「2回クリックするだけのことが、そんなに難しいの?」と意外に思われるかもしれませんが、これまでの指導経験からいって、これはほんとうです。

1回目のクリックから2回目のクリックまでの間に、マウスカーソルが移動してしまい、コンピュータはそれを2回のシングルクリックと受け止めてしまう……。こういうケースが多いのです。

考えてみれば、同じ場所で続けて2回クリックするためには、「マウスの固定」と「マウスボタンのクリック」という二つの作業を同時にこなさないとできないわけです。

写真を撮るとき、シャッターを押し込むアクションそのものが手ブレを誘発してしまうことがありますが、それと似ているかもしれません。

もともとマウスは、「固定しつつクリック」がやりやすいような形状になっています。なってはいますが、慣れるには多少の時間もかかります。

写真撮影では、スローシャッターが必要だったり、被写体が近いマクロ撮影のとき、シャッターアクションによる手ぶれを回避するため、セルフタイマーを使ったりします。リモコンもいいですね。三脚でカメラを固定すれば完璧です。

でもマウスにそんな機能は付いていませんので(どこかにあるかもしれませんが)、私はダブルクリックの壁にぶつかっている人には、マウスカーソルが望む場所に到達したら「そのままそーっとマウスを持ち上げてみてください」とアドバイスします。

当然ですが、もはやマウスカーソルは動きません。いわばカメラを三脚に乗せたような状態です。この状態でポチポチッとマウスボタンをクリックしてもらい、ダブルクリックのタイミングを指先で覚えてもらいます。

これで、さっきまでのイライラや不安が解消し、スッキリした表情になってくれます。私もホッとし、そこですかさずこう申し上げます。

「現代のパーソナルコンピュータは、『マウスカーソルをねらった位置に動かす』『シングルクリックまたはダブルクリックする』という操作だけで、原理的にすべての操作ができるようになっています。これであなたは、ほとんど最大といっていい高い壁を乗り越えましたよ、おめでとうございます!」

50音のひらがなが全部書けたなら、日本語のすべてを書き表すことができるようになります。表現の巧拙はあり、ひらがなばかりでは読みにくいかもしれませんが、とにかくすべてを書くことはできる。これは大きな一歩に違いありません。