2010年3月17日水曜日

ジャック・ニコルソンもお手上げ(その1)

個人的にかなり使い込んだつもりのタッチペンデバイス、ザウルス(PI-3000)の、どの機能をもっとも使っていたかというと、これはもう「手書きメモ」に尽きますね。

もちろん電話帳やスケジューラー、アクションリストや辞書などザウルスが売りものにしていた機能も使ってはいるわけですが、「手書きメモ」はそれらすべてを凌駕していました。ペンで自在に絵が描けるこの種の機能を備えた携帯機器は、当時ザウルスしかなかったように思います。どれほど使い込んでいたかというと、ザウルスのハウツー本にわざわざ記事を寄せたほどです。


  • 手近にある紙の切れ端に記入するように、ありとあらゆる情報をここに記す。電話しながらのメモもこれで取る。電話帳のデータを参照して電話をかけ、つながったら手書きメモに切り替えて待つという具合だ。これでメモ散逸の心配がなくなった。
  • 画面が小さく記入可能量が少ないのではといぶかる方があるかもしれないが、取材する仕事をしていていちばん重要なのは、情報を持っている人にアクセスするための手段、つまり電話番号と人名の2つだけ。したがってあの小さい表示面積でも充分なのだ。(MK)

『ザウルスで仕事革命』、行本明説・谷川昌司著、TBSブリタニカ、1994

現在のようなウェブサイトや検索エンジンなどなく、目的の情報にたどり着くためには、電話番号と人名→電話番号と人名→電話番号と人名→…というチェーンをひたすらたどるしかなかった時代のことです。


  • なおパソコンでは考えられないことだが、ザウルスは「タイトル未設定」という同じ名前で保存されたデータがいくつあっても受け入れてくれる。
  • パソコンやワープロだと「同じ名前のファイルがあります。上書きしますか?」などと聞き返してくるところを、シレッとした顔で呑み込んでくれるのが素晴らしい。これがあったからメモ用紙の替わりに使えているといっても過言ではない。(MK



この「手書きメモ」の機能は対面でのコミュニケーションを円滑にする役割まで果たしてくれました。何を言っているのかというと、人と会ったときに話題のとっかかりや話のタネにできちゃったということです。そしてどういうふうに使っていたかというと……。

(その2)につづく